ポイズン
第2章・14番目の月
妖艶。

エロティック。

淫ら。

彼女を何と表現すればいいのだろう?

荒い呼吸を繰り返す華奢な躰。

唇の端についた血。

この場にいる男が俺だけでよかったと思う。

他にいたら、間違いなく彼女を襲う。

「――ッ…」

彼女が俺に視線を向けた。

「――えっ?」

血を思わせるような赤色じゃなかった。

日本人らしい、黒目がちの瞳だった。
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