皆瀬さんに連れられたのは、室長の所だと思った。


コンコン。


「どうぞ。」


扉の奥から聞こえた声は。


低くて冷気でもまとっているかのような男の人の声。


「失礼いたします。」


さっきまでの非常階段の時のかん高い声じゃなく。


緊張がこちらまで伝わってくるような、少しトーンの落ち着いた凛とした皆瀬さんの声。


ドアを開けると、ゆっくりと皆瀬さんが会釈をして部屋に入った。


私も皆瀬さんの真似をして、ゆっくり会釈をすると部屋の中に入った。


「手短に頼む。」


忙しそうにデスクに座りながらパソコンを見ているひとりの男の人。


その男の人がいるだけなのに。

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