笑う門にはオレ様がきた!!
少しの沈黙の後


「よしっ、決めた!
お前を今日からオレの秘書兼
アシスタントにしてやる。」


「えっ!?」


「それと、家もオレんちに
すぐ引っ越して来い。
これからはオレの身の回りの事もやれ。
いいな?」


「えっ?えぇぇぇぇーっ!!!
無、無、無、無理ですょ…。
アシスタントはともかく
ど、同居なんてとてもじゃ無いです……。」


な、なに?
なんなの?
これも私の失態への仕打ちなの?


一緒に住むとか無理だよ…。


私が半べそ状態で言うと


「勘違いするなって
お前みたいな垢抜けない女に
手を出すほどオレは暇じゃあない
要は住込みで働けって事
わかるか?
お前は弟子だっ!
よく聞け、今日からお前を
俺の弟子にしてやる!」


社長室に彼の声が響く。


「で、弟子?ですか…」


あまりの急展開に
思考がついていけないんですけど…
何か面倒な話だよね。


「そっ、弟子と言えば
師匠の家に住込みだろが。
そんな、当たり前の事もお前
知らねぇのかよ。
ったく…最近の若いもんは
これだからなぁ…」


いやいやいやいや
そんな定説聞いたことないよ…。


ほ、本当なの?


だけど、断ったら
折角、入った憧れの会社
辞めちゃう事になるし……










仕方ない
そうするしかないか


それに
色んな事、学べるんだもん


少々、思っていた人とは違ったけど
間違いなく憧れの堀江和なんだもんね。


笑顔、笑顔
苦しいとき困った時こそ
笑顔だよね、おじいちゃん!


私はこの話を前向きに考えることにした。


「よろしくお願いします……」


とは言うものの………


あぁ、私の社会人一日目は
とんでもない幕開けとなりそうだ…。


一人項垂れていると


「後ーーー」


「後?」


これ以上、何があるんだろ?


「オレの前でヘラヘラと
笑うんじゃねぇぞ、いいなっ。
返事はっ!」


「は、はい!」


おじいちゃん……困ったよ。
これじゃぁ全く福が来そうにないよ…。








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