一度きりの夏だった


いつも通りの夏休みがやってきた。

が、明日から部活動の毎日だ。

そんな夏休みを過ごしていた吹奏楽部にオフが入った。





「ねぇ、遥。」

「何?」

帰り道、笹山遥は友達の桃と一緒に話しながら帰るのが習慣だった。

「なんでオフになったんだろうね。」

桃は疑問に思った。

「さぁ…父母会からクレームがあったんじゃない?」

遥と桃の吹奏楽部は弱くも強くもない。

時々、西関東に行く。

というレベルだった。

先生も普通の吹奏楽部くらいの先生だし、怖くも優しくもない。

コンクールや演奏会。

行事でベストの演奏ができるように毎日演奏をしている。

遥の吹奏楽部は、楽しく音楽をするのが最優先で、毎日楽しく音楽をしている。

なので、部員全員仲がいい。

やめた部員は少ない。

そして、120人も吹奏楽部員がいるのだ。

「でもさ、なんか一週間も部活ないとさみしいよね~。」

桃はため息をついた。

桃はフルート奏者だった。

中学校のときからフルートをやっていて、高校一年生にして先輩のトップの座を奪った。

…言い方が悪いけど。

「うん。私は毎日あってもよかったんだけどなあ・・・。」

遥は空を見上げた。

「雲。」

朝は晴天だったのに。

と、桃は言った。

「なんにもしててもしてなくても、時間て過ぎちゃうんだね。」

「なんか深いこと言うね。桃。」

「でしょっ!」

桃は照れた。

「桃、オフ何するの?」

「私は、お母さんの実家に行ってみようかな~!」

「いいね!私はなにしようかな・・・。」

2人は帰り道、一週間の夏休みの計画を語り合った。



「でも口なまったら嫌だよね。」

「うん!練習しなきゃっ!」

すると、遥の携帯電話が鳴った。
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