【完】君と流れ星を。
おんなじ。
◇◇◇


先生は急に腕時計に目をやった。


「お、やばい!紗奈、遅刻だ遅刻」


「…………っ」


いきなり名前で呼ばれて固まる。


「なんだよ、真っ赤になって。こっちまで照れるだろ。俺は入部したヤツは名前で呼ぶことにしてんの!それより行くぞ」


そうだ、たしかに伊集院先輩だって『かいと』って呼ばれてたし、大島先輩も澤田くんも。

私だけ特別じゃないってわかっていても、先生に近づけた気がして私は微笑む。


少し先生の横顔が照れた気がした。



先生にせかされて私は急いで化学準備室を出て、先生の後をついて歩く。
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