エゴイスト・マージ
遊人
いつもの様にドアを開けると
見慣れない男の人がそこにいた

こちらに背を向けて先生と
何か話してるみたいで

見た目、
年は先生と同じくらいか少し上?
そのラフな格好からは学校関係者には
到底見えないんだけど

先生の知り合いなのかな

私の姿を見つけた瞬間
先生はチッと舌打ちをした

「クソッ……
だから帰れっていったのに」

呆然と立ってると
その人が気配に気が付いて
こっちを振り返った

「うわっ!!
生の女子高生やーこんちわ!」


「こ、こんにちは」

(な・生????)

メチャ軽い感じのノリに
押されて思わず返事を返す

「無闇に生徒に声掛けるな」

「ええやんかー醒ちゃん」

(醒……ちゃん??)

「”ちゃん”付けすんなって
言ってるだろーが」
           

一見、先生の態度は相変わらずだけど
その男の人との言葉や感じは
今までに見たことも無い
どこか親しげな雰囲気が漂う

まるで先生とは正反対のタイプ
明るくていい人ぽくって

あ、先生が暗くって悪い人って
ワケじゃないけど

……いや、どちらかというと
そうかも、っていやいやいや

ともかく先生にそんな友人が
いたなんてちょっと意外


ううん、か・な・り・意外



(先生……友達いたんだ)


心の中で結構失礼な事を考えていると
再び先生と目が合う


「お前もイチイチ返事してんじゃねーよ
無視しろ、調子に乗るから」

げ……ついにとばっちりがこっちに


途端、その人は真顔で
私の顔をまじまじと見返してきた

「…………へぇ~
正体、バラしてるんや?」

そして、一瞬の真面目な顔から一変して

「んじゃ、改めてと
俺、蔦 遊人。三塚センセイのダチ」

と、握手された


「自称だろ」

宜しくと人懐っこい顔で
笑いかけてくれる横で
すかさず突込みが入る

「え~~ひでェ」


久々に寄れたと言う蔦さんは
うっとうしがる先生を他所に
懲りもせずちょっかいを
かけては怒鳴られている

でも……なんだか楽しそう

先生の意外な一面を
垣間見た気がして
暫く、蔦さんとの
やり取りを眺めていた

「ほな。また来るな、醒ちゃん」

「もう来んな」

「冷たいなぁ~」

帰り間際、名残惜しそうな蔦さんに対し
悪態をつく先生にもやっぱり
クスッと笑う蔦さんの顔から
どれだけ長い付き合いなのかよく分かる

先生の女性関係以外の
知り合いを初めてみた


こんなチャンス滅多にない
私は用事を思い出した事にして蔦さんの
後を追うことにした


急いで追いかけたつもりだったのに
既に姿が見当たらない


「アレ?アレレ……マジで???」

もういないの?どんだけ足速いのよ

私は必死になってしばらくその足取りを
探しまくった
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