愛するということ
瞬は・・・

誰もいなくなった夜。
トイレで1人泣いていた・・・


偶然、夜中に起きた俺は、トイレで必死に声を抑えてなく瞬の姿を見てしまったんだ。


瞬は、オヤジの「瞬は強い子だ・・・」って言葉を、必死で守ってたんだ。



俺は、その時、少しでも瞬をうらやましいと思った自分が、急に恥ずかしくなって、声をかけることもできず、その場に立っているしかできなかった・・・




それからも、瞬は家族の中で1番明るく、元気に振舞っていたし、
友里のボディーガートみたいなことも、いつしか瞬の役目になっていた。


家族の誰も、『強い瞬』を疑うこともなかったし、あの夜以来、瞬の泣き顔を俺が見ることもなかった・・・



だけど・・・

最近、誰にも気づかないような一瞬、悲しい顔をする瞬が多くなっていた。


それを、唯一気付いている俺が、
何もできずにいることも、俺を苛立たせている。


だから、拓馬の言葉にだって、瞬が傷ついてるんじゃないかといちいちイラついてしまうんだ。




「・・・情けねぇな・・・俺」
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