愛するということ
部屋の前に着くと、ドアの中からは物音ひとつしなかった。

「寝てるかな?」



瞬がせっかく眠っているところを起こしちゃ悪い。

俺は、そっとドアを開けて中の様子を伺うことにした。



「・・・」


真っ暗な部屋の中を覗くと、目が慣れていないせいもあって、瞬がどこにいるのか分からなかった。


でも、暗闇でもかすかに聞こえる瞬のすすりなく声・・・

次第に目が慣れてきて、瞬が布団を頭までかぶってベットに小さくうずくまっているのが見えた。



もちろん、すすり泣いているのも瞬。



瞬は、俺が部屋に入っていることには気づいてないようだ。



「・・・」



声をかけてみようか・・・いや、

何も言わずそばにいてやるほうがいいのか・・・
それとも、何も知らないふりをして、ドアを開けなおそうか・・・



「・・・」



結局、こんな時どうしたらいいのかさっぱり分からなくなって、そっとドアを閉めた。
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