愛するということ
「お前なぁ、いつからバスケ部員になったんだよ」

「・・・はい・・・」



夏休みに入っても、バスケの練習と家事とで思い通りに絵が描けないでいた。


違う・・・
本当は、時間がないって言い訳していいるだけで、描けなくなっている。




あの日から、頭の端っこにあったモヤモヤしたものが、日に日に大きくなっていて
キャンパスに向かうと、なぜか隼人の顔が浮かんでしまう。



一度、浮かんでしまった隼人の顔は、どんなに頑張っても、頭の中から消えてはくれず、結局、何も描けずに時間だけが過ぎてしまう。といった日々を何日か過ごしているうちに、キャンパスへ向かうことを避けるようになってしまった。



自分で自分が分からなくなったことなど、今まで1度もなかったから、正直どうしていいのか全くわからない。




そして、今なかなか作品にかかれない私にしびれを切らした顧問からの呼び出されたのだった。


「家のことは、しょうがないけど、こっちより、バスケ部の方が出席率が高いって、お前。」

「すみません」




夏休み明けが締め切りの県展への出品は、絶望的だった。
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