いとしさの中で

接近

"よぅ!"


一緒にいる私達には目もくれず、輪の中に入ってすぐ飲み始める駿。



(感じ悪い所まで似てるし。。。)


私は薄暗い照明の中、彼にバレないように彼を見続けていた。






"あれ、オマエもう酒ないじゃん!"



突然彼に話しかけられ、ハッとした。



"あ、あぁ。。。"


あまりにも自然に、あまりにも突然に話しかけられ、そんな言葉しか出てこなかった。




"んじゃ、買いに行く?"


まるで、面倒見のいい兄が妹の世話を焼いているかのように、優しい表情で話しかけてくれる。


(さっきの感じの悪さは何だったんだ?


実はすごく優しい人なのかも。)



なんて考えながら頷き、彼の背中を追いかけた。
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