12年目の恋物語
5.陽菜の迷い

「しーちゃん、一緒にお弁当食べてもいい?」



お昼休み。



わたしが、しーちゃんたちのところに行くと、しーちゃんは、ちょっと驚いた顔をした。



「もちろん!」



そう言いながらも、しーちゃんは、不思議そうに続けた。



「叶太くん、風邪引いてたっけ?」

「ううん。元気……だと思う」

「じゃ、ケンカでもした?」



珍しいねって感じで、しーちゃんが笑う。

わたしは、ううん、と首を横に振った。



これは、ケンカなんかじゃない。



そう答えたけど、しーちゃんと一緒に食べてる、亜矢ちゃん、梨乃ちゃんも、好奇心を抑えられないという顔。

亜矢ちゃんは、中等部から一緒。

梨乃ちゃんは、高等部から。

二人とも、とっても明るくて感じの良い子。



気持ちよく、「おいでおいで」と言って、隣の机を持って来て、わたしの席を作ってくれた。

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