monopolize
「大丈夫…」

『そ…。気を付けてな?』



鞄を持つと、あたしは無言のまま家を出た。



本当は、引き止めて欲しい。



“送る?”



そんな言葉じゃなくて“泊まってけよ?”そう言って欲しいのに…。



「所詮、そーゆう関係なんだよね…」



溜息を漏らすと、暗い夜道を1人歩いた。



同じサークルの龍二とは、飲み会の帰りに誘われたのがきっかけでこーゆう関係になった。

あたしはずっと好きで、好きだったからこそ体を許したんだけど…。



「龍二のバカ…」



“好き”って1度だって言ってくれた事無い…。

龍二は特定の女を作る事なく、きっとあたし以外にも関係を持ってるんだろうね?



「直接聞いた事は無いけど…」



いつも龍二の隣には女がいるから…。

聞くまでも無いよ…。



「龍二と、あたしの関係って何?」



強引な言葉も、優しいキスも。

しなやかな指先に、あたしを酔わせる舌も。



龍二が触れる度に、あたしは溺れてくってのに…。



「そろそろ限界…かも…」



やっぱり、心の繋がりが無いのは寂しいょ…。


 
< 2 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop