tearless【連載中】
優しさ
――‥‥
―――………



“……?”



あれ…

私…どうしたんだっけ?



瞳に映し出されたのは真っ白な天井。

すこし消毒の匂いが漂う空間。

私はパリッとしたシーツの間で横になっていた。



「保健室…」



でも何で…?

記憶を辿り考えるけど、ズキズキと痛む頭が思考回路を遮断する。



『…やっと起きたか』



カーテンで仕切られた狭い空間に声が入り込むと“入るぞ”と金色の髪を隙間から覗かせた。



「璃琥?」

『いきなり倒れっから運んでやった』



そしてまた、溜息を吐く。



“本当…刺のある男…”



それにしても頭痛いし、体怠いし、何が起きたんだろうか…。



『熱、あんだよ』

「熱?」



そうか…。

だからここに寝てるんだ、私。



…って事は、ドキドキしてたのも、顔が熱かったのも風邪のせい?

そうだ、そうだよ!!!!

私が璃琥の事好きになるはず無いもん。



『帰れるか?』

「う、うんっ」

『もう下校時刻過ぎてっから行くぞ』



えっ?

もうそんな時間!?



体をゆっくりと起こすと、ギシッとベッドが音を立て静まり返った室内に響いた。


 
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