エレーナ再びそれぞれの想い
18 もうひとつの危機
 エレーナは、宮原慎一のお墓の前に立っていた。
墓に花を供え、手を合わせる。
「慎一さん、貴方の生まれ変わりである白川シュウ君は、今、大変なんです。
そして、天上界も滅びかけています。。
慎一さんは困った事があった時、何時だって私達に適切なアドバイスをしてくれました。
もし、貴方だったらこんな時どうしますか? 慎一さん、教えて下さい」
墓に話し掛ける。
 
 その時、
「エレーナさんじゃない?」
と、声がして、エレーナが振り向くと、そこには宮原さやかが立っていた。
宮原さやかは、エレーナの前の契約者、宮原慎一の姉で、若くして死後、天使として甦った。
そして、エレーナと共に慎一の生涯を支えたのだった。
さやかもまた慎一の墓参りに来たのだった。
エレーナは慎一の生まれ変わりのシュウの話をした。
「ジェシーさんから慎一の生まれ変わりの少年がいるって聞かされて気になっていたの。
そんな大変な事になっていたなんて」
「さやかさんは、契約者はいないんですか?」
「今は天上界のために、清らかな心を持つ人間を捜しているの。だから、特定の契約者はいない」
ふたりは歩き始めた。
「シュウ君は名陵学園由乃高校の学生寮にいます」
エレーナは、さやかをシュウの元へ案内した。
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