スイートスキャンダル
「ちゃんと終わりましたか?」


「えぇ、誰かさんのお陰でね」


ほんの少しだけ嫌味を込めて笑うと、柊君が目を瞬きながら首を傾げた。


「えっ?俺ですか?」


無邪気に眠る彼の隣にいるのが居た堪れなくて気を紛らわす為に一晩中仕事をしていた、なんて事は口が裂けても言えないけど…


そのお陰で、休暇モードだった自分(アタシ)の頭がよく働いてくれた。


「……それって、ちょっと嫌味も入ってますよね?」


「さぁ、どうかな」


悪戯に瞳を緩めてフフッと笑うと、柊君は腑に落ちないと言わんばかりに眉を寄せていたけど…


あたしがそれ以上は何も言わずにいると、彼も空気を読むように諦めを見せた――…。


< 93 / 200 >

この作品をシェア

pagetop