僕はキミの名を知らない
果樹園のショートショートです♪
目覚めると看護師が僕の頭の包帯を取り替えている最中だった。

そして、白い壁、医療器具に囲まれたベッド、そうした状況が病室のベッドに寝ていることを僕に教えてくれた。でも、それ以外は何も分からない。そう、自分の名前すら分からなかった…。

これが俗に言う記憶喪失?

「今日も起きれたね」

そう声をかけけてきたのは、ベッドの傍らに座る制服姿の女子高生だった。

「キミは誰?」

「自分が誰かを知らないのに、私が誰かを教えることに意味あるの?」

どうやら彼女は僕が記憶喪失なのを知っているらしい。

「それじゃ、質問を変えるよ。僕は誰?」

「教えない」

なんで?優しくないな、このコ。すると看護師がクスクス笑い始めた。

「そりゃ、そうだよね。あんな間違いをされ続けたら」

「看護師さんは黙っててください!これは彼と私との戦いなんですから!」

「はい、はい。邪魔な私は出ていきますから。だけど、もう患部を刺激するような暴力は禁止だからね」

「わかってます!」

優しい看護師さんが病室から出ていく。できればここにいて欲しかった。
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