ヨーグルト

りっちゃん

いいなあ~。私もあんな彼氏が欲しいなあ…。
窓の外を歩くカップルを見てため息をついた。
「さーこっ!何?また見てんの?」
「りっちゃん…。」
私は九条佐子(くじょう さこ)。F高校一年、ダンス部。
ごく普通の平凡な女の子。
「佐子っていっつも見てるよね~!そんなに彼氏が欲しいの?」
この子は、市原里衣(いちはら りい)。私の幼なじみで一番の理解者でもある。
「りっちゃんは彼氏欲しくないの?」
「彼氏~?別に好きな人いないしね(笑)」
「好きな人かあ…。」
今まで彼氏いたことないぶん、好きな人もいたことがない。
クラスの男子ともまともに話したことがなく、好きな人なんか到底できそうにない。
このままで彼氏とかできるわけないかあ…。
「佐子!今日部活は?」
「ん?部活休みだよ?」
いきなりどうしたんだろう?りっちゃん用事でもあるのかな?
なんて思っていたらりっちゃんが口を開いた。
「今日さ!テニス部のマリってわかる?その子の応援行かない?」
マリ…?誰だろう。そんな子いたっけ…?
でもりっちゃんの友達なのかな?どーせ家に帰っても何もする事ないし…。
応援行ってみようかな。
「応援行ってみたいかも!」
「よし♪決まり~!今からいこー!」
「うん!」
やった♡テニスとか見るの初めてだからなんか楽しみ!
「テニス部にイケメンいるかもね♪」
え…?もしかしてりっちゃん、男探しですか?
りっちゃんは男女問わず仲が良いけど彼氏をつくらない。
前々から気にはなっていたけど…。
「りっちゃん、なんでイケメンがいいの?」
「顔がいいほうが自慢でしょ?」
顔がよければ自慢なの?確かに第一印象は顔だけど…。
大事なのは中身なんじゃないの?
「顔が良くて性格悪くても?」
「…。」
りっちゃんは黙ったままどこか遠くを眺めていた。
でも、どこか寂しそうで何かを隠しているように見えた。
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