みんなの恋~short stories~
2.ケンカの時 家事男子×短気女子




*ケンカの時






「今日みっちゃんがさー」

「うん」

「…京くんってカッコいいよね」

「うん」

「ナオくん話し、聞いてないよね?」

「うん」


あたしは寝転がっていた体を起こして、台所へ向かう。

「ナオくん!!」

「うん」

こんなに大声を出しているのにさっきからうん。しか言わない。

台所て揚げ物をしている彼ー
あたしの彼氏である山谷直人 通称・ナオくんは家事大好き人間、家事男子だ。

「うんじゃなくてさー、話し聞いてよ!」

ツカツカとナオくんに歩み寄る。

「ちょっと、こっちこないで。油が飛ぶ」

ナオくんが片手をこっちに向け、手のひらで制す。

「~っ、あたしと揚げ物どっちが大事なの!?」

どっかで聞いたことあるようなセリフを吐く。

家事好きなのは分かるけど、あたしの家に来てまで家事しなくても良いじゃん。

でもナオくんは聞いてるのか、いないのか、はしで唐揚げを素早く掴み油から出している。

今日、唐揚げかー。
ナオくんの唐揚げ、おいしいんだよね。

「じゃなくて!聞いてるの!?」
唐揚げを全てあげおえたナオくんは満足そうだ。

「果歩、お皿だして。大きいの」

おいおいおいおい、聞いてないのかよ!
んもう、本気で怒るぞ!?

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