the last century
始まりは夢と共に


全ては君に出会ってから始まった。










一目見て、虜になり

二目見て思わず笑顔が綻んだ。

知らず知らずの内に私の目線は彼を追っていた。


第一印象は愛おしい。

一体、何故なのだろうか?

私達は初対面のはずなのに、強く胸を引き付けられた。

ああ……そうか……これは俗に言う、一目惚れってやつかな?


その時の私はまだ何も知らなかった。

彼と出会ったのは必然的であることに。


高校の入学式、彼と出会った日の翌日。

私は不思議な夢を見た。

着物を着ている私。

それと、隣には武士の格好をしている彼。


楽しそうに話をしていた。

和室のような辺り一面が畳の広いお部屋で、二人っきりで、


侍が私に向かって

「姫様っ…………。」

と名残惜しそうに呟くと、侍は何処かに消えていってしまった。

悲しげな顔の私。

姫様と呼ばれた私が涙をポツリと垂らし悲しげに泣くところで、私は目覚めた。


少し、続きが気になるな。

その時はそれくらいしか思っていなかった。

夢でのことだから、と少しも気には止めなかった。


「いってきま〜す。」

今日から私の高校生活の一日目が始まった。

まだ着慣れない制服を身に纏いながら、高校へと向かう。

もう高校生になったんだ。

ついさっきまで中学生だったのに、時の流れは早いものだと感心する。


憧れの志望校で高校生活を過ごすんだ。

そう考えると膨れ上がっていく希望やら何たらを胸に秘め、歩き出して行った。

ピピッ……………

駅の改札を定期を使って通った。

数メートル進んだ所に彼は居て、

胸が張り裂けそうなくらい緊張した。

だけど、私はまだ彼の名前さえも知らないのだ。

彼が私なんかに気づくことは無いだろう。

しかし、まるで奇跡が起きたかのようになんと、彼の方から話しかけてきたのだ。

「あの………。」

最初は私に話しかけているとは気づかなかった。

「あの……すみません。」

徐々に声が大きくなっていく。

それでも彼女は気づかなかった。

肩をそっと叩かれる。

「はい?」

私と同じ高校の制服を着た男子高校生がそこに居たーーーーーー。

って……………貴方は…

昨日の彼だった。

何故、私に話し掛けたの?

まだ名前も知らない私に。

もし奇跡だとしても、彼が声をかけてくれたのが嬉しかった。


「コレ、さっき落としたよ?」

彼の手には生徒手帳が握られていた。

なんだ…私浮かれてた。

彼はその為だけに話し掛けてくれたんだ。

………優しい。

「あり…がとう」

照れ臭そうに彼が笑う。

すると、思い出したかのように、ゆっくりと彼が口を開いた。

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