「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「行くぞ」
和泉は私にそう言って、歩き出してしまった。
私は和泉を追いかけた。
「和泉・・ちょっと言い過ぎかもよ・・
あれじゃあ、傷つくよ」
和泉の隣に並ぶと、すごく不機嫌そうな顔をしていた。
「ねえ・・和泉??」
和泉は、ピタッと立ち止まり、
体を屈めて私の顔を覗き込んだ。
「”拓人”って呼ぶんじゃねーの?」
・・・・え。
「・・・和泉・・起きてたの?」
目の前の和泉の顔が笑った。
「起きてたけど?」
「どこから・・どこまで聞いてたの?」
「最初から最後まで」
ふっと笑って、和泉は体を伸ばした。
和泉に惹かれているって言ったことも
聞こえていたってことだよね。
めちゃめちゃ恥ずかしい。。。
でも
それを聞いて和泉はどう思っただろう・・・
和泉は・・・
モヤモヤと考え事をしていたら、
隣に和泉はいなくて、
和泉はずいぶん先で、立ち止まっていた。
「早く来い
・・・花音!」
かのん・・・
和泉に名前で呼ばれて、胸がきゅんとした。
今までに感じたことないくらい・・・
「待ってよ・・・
たっ・・拓人!!」