「1/4の奇跡」左側の君に【完】
医者は俺の膝をポンポンと軽くたたいた。
「俺、なんでこんな・・・」
悔しいと思った。
こんなふうに思ったのは、
初めてだった。
中学の頃に体の調子が悪くなって、
その症状が母親と同じで、
ただ、
ただ、
自分の未来に絶望した。
無意味に、時間だけが過ぎていた。
もう、どうでもいいやって思ってた。
俺、なんで生きているんだろう
何のために生きているんだろう
もう、いつ死んでもいいやって、
生きている意味がわからなかった。
だから、
こんな体で悔しいとか、
そんなこと思ったことがなかった。
医者は優しく語り始めた。
「好きな気持ちを抑えるなんて、
そんなのつらいじゃないか。
いいんだよ、高校生なんだ。
君が好きになった子なら、
きっと、体のことを理解してくれるさ。
そうか・・
高校生って・・・そういう年頃だよな
そうか・・・」
医者は机の引き出しを開けて、
ゴソゴソと一枚の一枚の紙を出した。
「この検査を、やってみるかい?」
その紙には難しそうな言葉がたくさん書いてあった。
「この検査をしておくと、
すこし気持ちが違うかもしれない。
検査してから、結果が出るまでに半年以上かかる。
やるならご両親の同意書が必要になる。
ただ、君の体のことだ。
やるかやらないかは、君が決めなさい。
この検査は・・・・・・
・・・・・・・・」
+++++拓人side end ++++++