「1/4の奇跡」左側の君に【完】



和泉っていつもかったるそうにしていて、

机に顔を伏せて寝ているイメージしかなかった。



だから、こんな・・・



こんなにバスケが上手いなんて・・・



「・・・意外だ・・・」



思わず口からそんな言葉が出てしまった。




バンッ!と相手のパスをカットして、ドリブルシュート・・・





「おい!拓人ー!!女子が見ているからって、

いいとこ見せ過ぎなんだよー!」



和泉はクリッとした大きな瞳を細めて笑った。


・・・和泉ってこんな顔で笑うんだ・・・



ふわふわっと盛られた黒髪。


毛先は無造作にハネていて、


小さな顔に、よく似合っていた。


「そんなんじゃねーよ」



和泉は髪をくしゃくしゃっとかいた。




和泉って笑うと


こんなにかわいいんだ



知らなかった・・・








キーン

コーン

カーン

コーーーン



「やばっ!チャイム鳴った!」



急いで体育館から莉子と出て行こうと思ったら、

男子たちが私たちを追い抜いていった。


ドン!!


「痛っ!」


後ろから追い抜いてきた男子と、

私の肩がぶつかった。



「あ。わりぃ・・」


片手を軽く上げて走り去っていったのは、

和泉だった。



「大丈夫?花音?



花音?」





初めて和泉と目が合って、


心臓がドクンと飛び跳ねた気がした。



和泉とぶつかった自分の肩に、

痛みとは違う不思議な感触が残っていた。










< 8 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop