白と黒の神話
第4章
「中に入ってみましょう」


 セシリアの声が響いている。たしかに、廃墟にしかみえないが、中には何か手掛かりがあるかもしれない。そう思って、四人は中に入っていた。


「リア、この分だと誰もいそうにないね」


 外見からもそう感じていたが、中に入るとますますその観が強くなったのだろう。ミスティリーナはそう呟いている。


「ですね。一時的にいたということは考えられますが、今もというのは無理ですね」

「ええ。ここにまだアルディス様がいるのなら、見張りが一人もいないということが不自然よね」


 セシリアとウィアのそんな言葉にカルロスもうなずいている。しかし、その目は何か手掛かりがないかとあたりを見渡しているのだった。その目に何か光るものがみえたのだろう。思わずそれに飛び付くようにしている。


「どうかしましたか、王子」
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