【砂漠の星に見る夢】
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老人がそこまで話すと、雄太は納得したように頷いた。


「そうか、イシスに優しくされて、クフ王の心は広くなったんだ」


「あのね? 宰相って『政治を執り行う人』ってことよね?
言葉の意味は勿論分かるんだけどピンと来なくて……それに任命されるって、やっぱりすごいことなのかしら?」


と訊ねた私に、雄太は呆れたように腕を組んだ。


「……今の日本で言うなら11歳の子供が、総理大臣に任命されたようなものだよ」


その言葉に、「ええ?」と目を丸くした。


「11歳で総理大臣に……」


「家臣たちが、驚くのも無理ないよ」


「そうね、それは周りも驚くわよね」


そんな私たちを見て、老人は愉快そうに目を細めた。


「そうしてエジプトの経済を立て直すための大事業が開始されたのです。そう、まさに、このピラミッドの建造です」


老人はそう言って両手を広げた。


「そうか、このピラミッドなんだよ」


雄太も信じられないというように王の間を見回した。


「そうね、ここなのよね。クフ王のピラミッド……。ヘムオンは本当に後世にまで残る物を造ったのね」


私たちは『王の間』を見回し、熱い息をついた。



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