【砂漠の星に見る夢】
『今度正式に紹介するよ。私の妻になる人だ』
そう言ってイシスの元に駆け寄った兄上。
二人が寄り添う姿は、まるで美しい絵を見ているようだった。
思えばイシスは兄上に対する羨望を含め、憧れを凝縮させた存在なのかもしれない。
兄上もイシスも、自分にとっては眩しいばかりの存在だった。
どれだけ嫉妬して、焦がれただろう。
クフは昔を思い起こしたあと、自分を見上げるヘムオンの緑色の瞳を見て微笑した。
「そなたは父の生き写しだな」
「皆にそう言われます」
「そしてそなたの後をついて回るジェドは、まるで幼き日の自分をみているようだよ」
その言葉を意外に感じながらも、ヘムオンは黙って話を聞いていた。