「本当に別れたいの?」

 久美の話しかけた声はもう祐也には、届いていなかった。

 ソワソワした態度が落ち着きのなさを示している。

 居た堪れない気持ちの久美は五歳の真希の腕を掴み立ち上がった。

 心が押しつぶされそうで痛い。

「どうしたの?ママ」

 つぶらな瞳が久美の顔をじっと見つめている。

「パパと今日でお別れだからさようならって言って」

「さようなら」

 悲しそうな真希の瞳は涙で濡れていたが、

 この時の祐也には何も見えなかった。

 喫茶店の外で待たせている浮気相手の由奈のことで頭が

 いっぱいだった。