「おじゃまします。」

「誰もいないから緊張しなくていいよ。」


いやいや、緊張しない方がおかしいでしょう。

志賀の家はマンションの5階だった。

彼はこうやって簡単に家に女の子呼ぶのだろうか。


「お茶でいい?」

「あ、うん。ありがとう。」


通された部屋はどうやら志賀の部屋らしく、なんとなく彼の香りがした。

なんか変態みたい。

変なことを考えるのはやめよう。


「はい。」

「ありがとう。」


マグカップを受け取り、それをそのまま口へと運ぶ。


「これさ、知ってる人侑也だけなんだ。」

「うん。」


いつもしている左目の眼帯をゆっくり外した志賀。

その下には大きな傷ができていた。私はそれを見て大きく目を見開く。


「俺さ、中学の時苛められてたんだよ。なんか変な言いがかり付けられてさ。その時侑也だけが俺の友達でいてくれて。最終的にカッターで目切られてさ。失明した。」

「…ご、ごめん。」


何で謝るんだよ、と笑って言う彼の顔が驚いていた。

多分それは私が泣いていたから。

なんだか悲しくなってしまったのだ。


「なんで泣いてんだよー。」


困ったように眉を下げてまた彼は笑う。

そして優しく抱きしめて背中をさすってくれた。

私が聞いておいて私が泣いて迷惑をかけっぱなしだ。


「志賀、言いたくないこと言わせちゃってごめんね。」

「気にすんな。」

「ありがとう。」

「おう。」