城西高校の水城さん
「だってさあ、美羽は胸小さ「なあに、瀬那?」…なんでもありません。」


今一瞬美羽ちゃんの後ろに鬼が見えた気がする。

瀬那もなんか土下座してるし。


「水城さん大丈夫?」

「あ、うん。」


さっきは焦っていて気付かなかったけれど、私の顔は相当赤いらしく、少しだけ暑かった。

手でぱたぱたと顔を仰ぎ、小さく息を吐く。

そんなことをしているととんとん、と茶道室の扉がノックされた。

全員がそちらを向くと扉が開きそこにいたのは緑の髪のキャップをかぶった男子と濃い紫色の髪の男子だった。

私は基本知り合いしかわからないから誰かわからなかったけれど、みんなは知っているようだった。


「あれ、なんで入江くんと江森くん?」


そう尋ねたのは瀬那。

私は野村くんに誰?と小声で尋ねる。

すると聞こえていたのか緑の髪の人が五組の江森巡樹です!と大声を出した。

すると隣にいた紫の人がうるさい、と江森くんの頭を叩く。


「四組の水城さん、だよね?」

「あ、うん。」

「巡樹と同じく五組の入江光。よろしくね。」


にっこり笑った入江くんに笑い返すと、美羽ちゃんが何か用?と二人に聞いた。


「あ、そうだそうだ。大潮先生が志賀のこと探してたから伝えに来たんだよ。多分ピアスのことだから行かなくてもいいと思うけど。」

「俺もとっしーにキャップ言われてさあ。」


口を尖らせて言う江森くん。

それを完全に無視して入江くんはじゃあね、と手を振って扉を閉めた。


「行かなくていいの?」

「いいよ、めんどくせえ。どうせ大潮だし。」


そう言って欠伸をする志賀を見て私は、でも次大潮先生の授業だよね、と独り言のように言った。
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