逢いたくて
無邪気に子供みたいに笑う渉の抱えてるものはひとりで抱えるには大きすぎるようなものだった

なんでこの人はそれなのに笑えるんだろう

「でも昨日咲を見て自分の中にまだ人恋しさ?みたいなのが残ってたって知った。あかの他人なのに放っておけなかったのは医者だからじゃない。人として…」

「……」

「俺、親からも突き放されて育ったし…人付き合いに全く自信ないんだ」

「私…渉さんに何度も救われて…。あったかいです。渉さん」

「どうしようもない俺だけど自分のためにも咲を助けたいんだ。だから…よろしく」

「こちらこそ…」

「ちゃんとものまねは加算してあるからな」

「えっ」

そうして無邪気に笑う渉の顔はさっきまでとは全然ちがって見えた
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