逢いたくて

病院

「ん~………………」

目が覚めると真っ暗だった

「咲?目覚めた?」

「ん~?」

「お~い」

渉が目の前で手をひらひらさせる

「あれ?」

気づけばここはいつもの寝室じゃない

「病院だよ。咲、急性肺炎になったからしばらく入院」

「へ?」

「へじゃないよ。大変だったんだぞ?おととい熱出してから」

「おととい?」

「昨日は丸一日意識なかったんだ。」

腕を見れば点滴されているし

鼻には酸素の管がついてる

「こらっ管とるなよ」

気になって管をとった私の手からすぐ渉が管を奪った

「ここから咲が今必要な分の酸素入れてるから」

「帰る…」

「は?」

酸素の管を私につけていた渉の手が止まった

「帰るっ!」

「おいおい」

ここにはいたくない…

だって…

思い出すから…

あの日のことを…
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