宇宙旅行へ行きませんか
爽恋






先生は、頭の螺旋が外れている。私は疑う事無く断言する。国語教師なのに白衣を着衣している所とか、髪の毛がふわふわしている所とか、眼鏡が一昔前の丸眼鏡な所とか。生徒である私と、付き合っている所、とか。兎に角、変梃なのだ。



「ねえねえ、」

先生が緩りと口を開く。補修とは名ばかりの甘い恋人同士の時間。教室の中で机を挟んで二人は向き合う。どこの誰だろう、教師と生徒の恋愛が禁忌なんて言い出したのは。今や恋愛なんて歳も性別をも超える物じゃないか。



「二人で宇宙旅行に行こう」

彼は子供の如く笑むと、私の手を握りしめる。遠くの喧騒が耳の横を通り過ぎて行った。夏終わりの空気を孕んだ秋の空は快晴のまま天を占領している。うん、と子供を宥める様に返事をする私。開け放した窓から、爽やかな風が吹き抜ける。


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