子犬系男子
4


「せんぱーい!なんでダメなんですか?」

「正常な人ならいいなんて言わない」

七瀬くんのペットにしてくれ発言の後、私は七瀬くんの手を引いて教室から出た。

その光景を見た女子たちは勿論悲鳴をあげていたけど無視だ。

「だって先輩、彼氏はダメなんでしょ?だったらペットって名案だと思ったんだけどなぁ」

このワンコは少し頭が残念らしい。

仮に私がいいと言ったところでペットって何をするんだ…。

「七瀬くん、よくわからないけど君は有名人っぽいし…今日みたいに教室であんな発言をされたらクラスは混乱するし、何より私が困る。」

「…先輩、怒ってる?」

上目遣い気味に見てくる七瀬くんは少し可愛い…じゃない、私は怒っているんだ。

「うん、正直怒ってる。もう少しTPOを考えて発言してほしい。」

「すみません…」

なんだかとてもしょぼくれていて、心なしか耳と尻尾が垂れているように見える。

いや、実際尻尾とかないけど。

「そんなに落ち込まなくても…ちゃんとわかってくれればもういいから…」

できればもう来るなと言ってやりたいがそんなことを言ったらかなり落胆してしまいそうなので言えない。

暫くすると、黙っていた七瀬くんが急に顔を上げた。

「先輩!あんまり人がいなければいいんスね!!」

え?

「あ、あの、ちょっと、七瀬く…」

「俺、ちゃんと場所とか考えて先輩にスキンシップとるっス!」

伝わっていない。私が言いたいことが伝わっていない。

「スキンシップってちょっと、七瀬くん…」

言おうとした瞬間、チャイムが鳴ってしまった。

お昼休み終了の合図だ。

「っと、チャイム鳴っちゃいましたね!また放課後行くんで!先輩、ちゃんと待っててくださいね!!」

もの凄く爽やかな笑顔を向けて走って行ってしまった。

てか、また放課後来るとか言ってなかったか?

ふざけるな、なんとしても見つかる前に帰ってやる…!

そう心に誓って、私も教室へと戻った。









「どういうこと!?」

「どこでどんな風に七瀬くんと知り合ったの!?」

「なんでいきなり七瀬くんに告白されてるの!?」

「愁ちゃん!!」

「…はい」

クラスに帰れば質問攻めだ。
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