瑠璃の瞳と夕焼けと

必然

バニラが部屋から出なくなり三年がたったある日、漆黒は彼女に語りかけた。

リウス=ジルプレール。彼は悪魔だ。漆黒の髪に、バニラの瑠璃色の目より少し深い紫色の瞳。眼鏡の下の目を細めると、口を開いた。

「そのままそこにいるのか?姫様。」

バニラは少し驚いた。一体どこから部屋に入ってきたのか。こちらも口を開いた。

「…あなたは、誰?名も名乗らずに他人に話しかけるなんて、なってないわ…。
まあ、いいわ。質問に答えましょう。ええ、ずっとここにいるわ。」

リウスはその答えを予想していたのか、あまり驚かなかった。

「そうか。俺はリウス。リウス=ジルプレール。俺が何者か判るか?」

「わかるわけないじゃない。そもそも私、他人に興味がないの。私が世間から突き放されているって知ってるでしょ?かえってスッキリしたの。他人との関わりなんて、面倒だわ。これは、必然なのよ。」


少し顔をしかめたリウスを横目に、バニラはさらに続けた。

「私は冷徹で酷いわ。でも、人間なんて皆そんな物よ。…さあ、質問には答えたわ。とっとと帰って。迷惑なの。」

リウスは、うつむいて唇を噛んだ。

「…カ」

「何よ。まだ何かあるの?」

迷惑そうにバニラは言った。

「バカ!」

リウスがヅカヅカとバニラに歩み寄る。

その瞬間、バニラの視界は塞がれた。
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