か・せ・こ・く・い
悲しい
「別れよう」
嫌。
本当はそう言いたかった。
でも、最後まで我儘じゃダメだよね。
そう思った。
「うん…今までありがとう」
「俺も…今までありがとう」
これでいいんだよ。
これで。
彼は私を抱きしめた。
今までに感じたことのない温もり。
この温もりを離したくない。
私のすべては貴方一色だったね。
「ごめん…ね?」
私の頬に涙が伝う。
「泣くなよ。恋が終わっただけなんだから」
「うん…グスン」
「思い出になるには時間がかかるかもしれないけどさぁ…侑香里ならすぐに素敵な彼氏でも見つかるよ」
「…ヒッ…グスン」
「じゃあ最後に約束して?時々で良いから俺の事思い出して?」
「…うん…ヒッ」
そう言い残して彼は去ってしまった…。
まだ約束の意味が分かっていない。
なんで彼があんなこと言ったのか…。



―ジリジリジリジリ。
「んーっ」
目が覚めた。
「なんだ…夢かぁ…」
最近同じ夢ばっかり見ている。
彼と別れたのは小学校に入ると同時に別れた。
現在私は高校二年生だからちょうど九年前ぐらいかな?
幼稚園のことだからかもしれないけど…。
私は彼の名前が思い出せない。
あんなに愛してたのに…。

彼は家の事情で上京した。
今はどこにいるのか連絡を取り合ってないから分からないけど。
どこに居るのかなぁ…。
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