玲瓏
「る…、おき…さい!
縷依!起きなさいっ!」

お母さんの怒鳴り声に驚くと同時に起きる。

「いつまで寝てんのあんたは、本当にもう…早くおりてきなさい。」

呆れた、という感じでお母さんは行ってしまう。

あれ…わたし…

昨日、
学校をでて…
悲鳴をきいて…
助けようとして…
みぞおちを殴られて…

記憶はここでとぎれてる…わたし、どうして家にいるの?

瞬間、あの三人の男たちを思い出す。

「お母さん…昨日わたしどうやって帰ってきた?」

朝ごはんを食べながらきいてみる。

「何言ってんの?
普通に歩いて帰ってきたじゃない。」
というお母さんの答え。

おかしい…と思っているのは、わたしだけなのだろうか…。

こんなに鮮明に覚えてるのに…。

考え事をしてると、時間が早く過ぎるというのは事実。

「いってきます。」

モヤモヤした気持ちのまま学校へと歩く。

ふと、通りのカフェを見る。

毎朝ここを通るから、あんまり気にしてはいなかったが、なんとなく。

するとそこに、昨夜見た明るい金髪の男がいた。

「あの人…。」

わたしは少し駆け足で彼へかけよると、
「あなた昨日の夜わたしのみぞおちを殴りましたよね…?」
と男の座る席へ行き、問う。

新聞のある記事を一生懸命読んでいたらしい彼は、一瞬わたしを睨んだのち、わたしの言葉に目を丸くした。

「君は…昨日の…ちょっと来て。」

手をいきなり引かれ、店の外に連れ出される。

会見は、レジのところにお札を一枚おいてきただけ。

店の外どころか彼はわたしを引いたままどこかにずんずん進んで行く。

「ちょっ、わたし学校が…離してください!」

わたしの声には耳もかさずに歩き続ける。

わたしがされるがままでいると…
あるところで止まる。

目の前には高級マンション。

灰色と黒のモノトーンなその建物は、最上階を見上げるだけで首が痛い。

どこからか取り出したカードを入り口で通し、中へと入る。

もちろんわたしを引っ張ったまま。

エレベーターにのり、39階を押す。

エレベーターが止まると、急ぎ足で歩き、また止まる。

3907号室…。

ここは家だろうか…?

すると、ガチャ、とドアが開く。
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