キラリ
輝姫がここまで他人を誉めちぎる事なんて滅多に無い。


が、話の内容自体は、あまり私の興味を引くものではなかった。




指の長さや絶対音感は、確かにピアノを弾く上では有利な条件になる。


でも、私は私なのだ。


他人を羨む暇があるなら「自分の演奏」を究めていた方が、精神衛生上も好ましい。



輝姫はまだ友達の事をあれこれと誉めていたが、私は「うん。そうだね」「すごいね」と適当に聞き流し、やがてそれぞれの教室へ入って行った。
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