きのこうどん

【君がいるだけで】

ホームの方から駅独特のアナウンスが流れるとボクは、定期を取り出しホームの方へ向った。
　
先ほど見ていた家族連れも同じ電車に乗るようで後から付いて来ている。
　
後ろを振り返り男の子の様子を見ると一方で母親につかまれているものの今もちゃんと手をつなぎ一緒にいる。
　
女の子がべったり。って感じかな。
　
あの子たちもお互いを想いあっているのだろうか？その想い、いつまでも続くといいな。
なんて思ってしまう。
　
「ふふふ。そう言えばあの後大変だったな。」
　
彼らを見ているとついつい独り言も多くなる。そんな状況でもないのに。
　
あの後は、本当に大変だった。
　
迎えに来たちこの父さんにちこが
　
「私、アキト君とキスしたのよ！それでね、結婚するの！」
　
なんて報告するもんだから車に乗っている間中、睨まれるのなんの。
　
あぁぁ、
父親って怖ぇぇぇぇって思ったよ。
　
電車がやってきて扉が開くと同時に中からエアコンの匂いがする涼しい空気が吹いてきてボクに触れた。
　
足を踏み出し中に入るとそこは別世界で現代の恵みに満ち溢れている。呼吸がしやすい。
　
いつもなら吊革わきでただつっ立っているのだけど　お盆の日というのもあってか片田舎から街の方へ行く人は少なく指を折る程度しかいない。
　
手ごろな席を探し、浅く座った。
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