如月電器産業社長、岸尾五平(きしおごへい)は、どうやら如月家の遠縁にあたるらしい。


家系図を何代か前に遡れば、どこかで如月家から分家に下った御先祖様にぶち当たる。
その縁なのか、その父親も存命中は如月電機産業の社長の任に就いていた。


彼らが経営者ではないにしても、岸尾家がある限り、社長の座は世襲制のようなもの。
つまり、拓真は何もしなくてもいずれは如月電機産業に就職する。
そしてよほどのことがない限り将来的に役員になって、何十年後かわからないけど社長の座に収まる。


本人がそれをどう思っているかは関係ない。
今就職活動もせずにバンドに夢中になっていられるのも、人生のレールが敷かれているとわかってのことだろう。


それなら岸尾家の地位はこの先も揺るぎない。
だけどそれは、私が何らかの利害関係を目的にした縁組みをしない限り、という条件付きでの安泰だ。


縁談の話は、岸尾家だけでなく、常務の息子にももたらされたのだから。

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