初めて顔を合わせたその女性は、妙にアンバランスな空気を醸し出している、そんな印象だった。


凛とした佇まいを見せながら、青白い顔。
飛びきりの美人なのに、ずっと視線を下に向けて、どこか怯えたような表情。
ふんわり香る品のいいフローラルのトワレが、どこかフェミニン過ぎてミスマッチだった。


「……彼女は、私と浩一さんの同窓生です」


私の命令になかなかうんと首を縦に振らなかった首藤も、諦めたように私にそう説明した。


「とても繊細な方です。
正式な婚約者ではなかったと言え、事件の後は体調を崩されたと聞いていました。
お会いになるのはもう少し後でよろしかったのでは?」


あなたとは違うんだ、と言われた気がして、意味もなく不機嫌になった。


それでも命令を覆さなかったのは、そんな悠長な真似をしていられなかったから。
結局首藤も、渋々私の命令に従った。


そしてようやく役員応接室に彼女を迎えた。
彼女の情報を昴から聞いてから一週間が過ぎていた。


体調を崩していた、と言うのも首藤の出任せではないらしい。
首藤の嫌味だとわかっていても、それなりにチクチクと心が痛む。
怯えた目をした彼女に、年下の私の方が気遣ってしまった。

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