シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

歌声 桜Side

桜Side
********************


瞬間接着剤がコンビニで品切れ中。


次々にコンビニを変えて行けども、目的の品物は手に入らない。


この時期、皆、瞬間接着剤を必要とするんだろうか。


芹霞さんのあの焦りようを見れば、切羽詰って困っているのだろうことは直ぐ判ったし、何を修繕するのかは皆目見当つかないけれど、此処は何としてでも買って帰りたい処。


常日頃充実した品揃えが自慢のコンビニで、用をなさないのは…一部のこうした文具だけではなかった。


どのコンビニからも、酒と煙草が消えていた。

壁に大きく共通の張り紙。


『東京都新条例により、未成年のアルコール類やタバコを撤去します。購入可能の方は、レジにて成人を証明する公的証明書と免罪符をご提示下さい』


免罪符…。

金を出して手に入れれば、自警団の厳しい取り締まりから逃れることが出来るものだったはず。


東京都はそんなふざけた代物まで、東京都自体が推奨している。


罪の恩赦だけではなく、生活ルールまで、自警団に金で支配されるようになったらしい。


最初は未成年の素行を正すモノにすぎなかったはずが、その及ぶところは成人に至り、自警団の許しなくては何も出来ない。


その象徴である免罪符は――

黄幡会が発行しているものだ。


壁に飾られているのはそうした告知と、黄幡会のポスター。


近く、黄幡会主催の祭が行われるらしく、その前夜祭が宣伝されているようだ。

華々しいイベントは、東京ドームで行われる予定らしく、そこではZodiacのライブが前座らしい。

シンプルすぎるポスターには、それ以外はどんなことが行われるのか一切記載がない。


それに、Zodiacのライブと聞けば、どうしてもS.S.Aを思い出してしまう。


黄色い蝶が襲った惨劇現場。

消えたZodiacのメンバー3人と、観客。


何もかにもが不可解なままで終了したあの状況が、また別の場所でも起こるのだろうか。


招かれる人々は抽選らしい。

当選した人々は是非参加するよう、行政がポスターに推奨文を寄贈している。


喧騒を抑える自警団を自由に闊歩させて、喧騒を推奨する東京都。

その背景にいるのは黄幡会とZodiac。


キナ臭いものしか感じない。

< 390 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop