シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

覚醒 玲Side

 玲Side
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夢から覚めても夢が続く。

目覚めたくて仕方が無いのに、逃れきれない…延々と続く悪夢。

夢だとはっきり自覚していても、その映像から受ける心に受ける傷は大きく、夢に抵抗する気力を失い…ただ流されるままに。


悪夢に雁字搦(がんじがら)めとなり、いばらに締め付けられたかのような僕の心臓は、まるで最期の足掻(あが)きかというかのように、必要以上に乱れた早さをみせ、発作のような苦しみを感じさせて。


それは現実の僕が感じた苦痛なのか、夢の僕が感じる疑似感覚なのか、もう区別することは出来ず。

喘ぐように、絶叫するように…出口となる"覚醒"に逃げ込んでも、覚醒という名の悪夢がまた続いていく。


永遠に幾重にも重なった…重厚な悪夢は、逃げ場のない僕の檻で。

僕の狂いの血を刺激させるもので。


横須賀で櫂の胸が穿(うが)たれ、紫堂に戻った時から…ますます"悪夢から覚めた悪夢"は酷くなった気がする。

そして当主の口から出た言葉に、当主に飲まされた薬に…僕の悪夢は更に闇と狂いの色を強め、僕は更に混迷した。


そんな時、芹霞が現われた。

芹霞は…僕を現実世界と結び、悪夢に堕とさぬようにしてくれていた。


目覚めても目覚めても芹霞が出て来る。

その度に芹霞は笑顔で居てくれている。

それがどんなに僕の心を救うものであるのか、君は判っているのだろうか。

現実に還ってからでも、君は僕を見限らず僕の傍に居てくれると言ってくれたこと、どんなに嬉しかったか…どんなに僕の君への愛が膨れて切なく胸が音をたてたのか、君は判るだろうか。


どうしてもどうしても、僕のものにしたい愛する人。

僕が愛して止まない…可愛い人。


ねえ芹霞。


僕の真剣な告白を、やけに癒された顔して"うんうん"で聞かないで?

ずっと傍に居てくれるって言ってたのに、僕を放って紫茉ちゃんの処に行こうとしないで?


ねえ…僕が見えているよね?

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