シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

喜悦 煌Side

 煌Side
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熱くなっていた分…

心に吹き込む隙間風が異様に冷たく感じる。


「阿呆リスのおかげで、

強制終了とは――」


お粗末な結果に最大ダメージの直撃受けたのは、一番長くこのゲームに携わっていた小猿だ。


それまでの緊張感と集中力が途切れたようで、いじけたように地面に蹲(うずく)まる小猿。

地味に俺もその隣に座って、その理不尽さに溜息だ。



「「俺達、頑張ったのに…」」



俺達の周りには、報われぬ人魂がふよふよと。

どんよりとした空気が重くのし掛かって肩こりになりそうだ。


そんな中…KYリスが、俺達の足元にチョコチョコと走ってきて、頭を斜めに傾げると、くりくりとした目で見上げてくる。


「ねえねえ、どう? 僕の奥義。勝負一瞬でついちゃったね。それに僕、力持ちだったろ? ねえねえ僕、役に立っただろ?」


褒めて貰いたくて仕方が無いらしい。


見るからに――

"うずうず"して、鼻がひくひく動いている。


だから俺は――…


ピン。


「あうっ…」


デコピンをして、ドMリスを弾き飛ばして…また大きく溜息をついた。



ゴゴゴゴ…。



不審な音が響いたのは、まさにその時で。

小猿と顔を見合わせ、今度は何だとその音の先を追った。


そこには櫂が立っていた。

空を見上げて佇んでいる。


「おい、櫂…どうした!!!?」


櫂は返事の代わりに、指を空に指す。


「あ?」


何だ、あれ?

何かが…ゆっくり下に落ちてくる?


「どのゲームにも、氷皇と緋狭さんの存在感は大きかった。だから今回のゲーム、欲に惑えば双方登場して妨害するのならと、2組で互いを監視し合うことにより、あの2人と相対して無駄に時間が過ぎるのを回避していた。

だから俺は氷皇と1度きり。煌は…そこに至らぬ"遠坂レベル"に1度きりの対面だ。だとすれば。例え虚構いえども…あの2人が、そんな少ない出番で満足すると思うか?」


ゆっくりゆっくり…


「此処が、2ヶ月前の"アリス"尽くしを揶揄しているとして、だから不思議な国のアリスをモチーフにしているにしても。

存在感がある主要人物なのに、登場していないキャラが居るだろう」


上から降りてくるものは――


「氷皇の鎧姿は、さしずめ…"女王"の忠実な部下たるの騎士"ジャック"であるとすれば。緋狭さんは恐らく――」


蔦の絡まる赤い薔薇で織り込まれた…ブランコ。


「あ!!!? 何だよあれは!!!」


そこには人が乗っていたんだ。
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