シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

手記1

◆◆◆

黒は――


光を通さぬ故に闇色とされ、

何色にも染まらぬ故に忌み嫌われ、

多色を支配出来る故に災禍とされた。



悪だ死だ恐怖だ…

人々の否定的な先入観が、

黒の本質を見誤っていると言うことに

何故誰も気づき得ないのか。



穢れた血色を消し去る黒なのに

何故に赤が慈悲深いと神聖視されるのか。


温もり奪う非情な色を消し去る黒なのに

何故に青が孤高と崇められるのか。


枯死による停滞色を消し去る黒なのに

何故に緑が生ある変化を謳(うた)うのか。


錯綜した不透明な色を消し去る黒なのに

何故に白が澄んだ智慧を請われるのか。


4つの色の徳は、黒によって打ち消される脆弱(ぜいじゃく)なものなのに、何故に黒より格上のように扱われるのだ?



私は――

その理由が判らぬ。

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