シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

瘴気 櫂Side

 櫂Side
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その時、身体に走った…共鳴(シンパシー)のような悪寒。

この…心がざわついて仕方が無い感覚を、以前も俺は経験している。


俺は無意識に、胸につり下げた…硝子の指輪を手で握りしめた。


芹霞…。

駆け付けたくとも…此処からでは遠い。


どうした?

何かあったか?

玲は傍には居ないのか?

お前は無事か?


芹霞の体内には俺の闇石は既になく、今は俺のポケットに忍ばせている。

だから石の持ち主である俺が、芹霞が揺れることによる闇石のざわめきを、直接に感じることはありえないけれど。

俺達は、石だけの繋がりだったわけじゃない。

例え芹霞の記憶がなくとも、その心がまるでなくとも。

俺の想いが息づいている限り、居る世界は違っても1つに繋がっていると、その自惚れにも似た信念を許されるのであれば、俺は――


「櫂、危ねえッッッ!!!」


煌の声で現実に返り、置かれている状況を思い出す。


此処は――

裏世界という名の異界。


情報屋が知らぬ間に張り巡らせていた結界を解いた途端、漆黒の空に…2つの月が浮いているのを見た。

遠くには城の小さな影(シルエット)、そして湖のようなもの。


それらが見えたのは…、時間にして1秒も満たない僅かな刻。


非現実なこの世界の様相が垣間見えた途端、


――ワマス ウォルミウス ヴェルミ ワーム。


いまだ続く…何処からか聞こえる声が、また新たなる瘴気を呼び、この異質な世界は再び漆黒色だけに覆われた。


同時に――

訝る俺がひっかかりを感じたのは、その言葉の響き。



"ワーム"

即ち蟲。


それは…神崎家を模したゲームのROUND2で、8年前の煌が口にしていたものではなかったか。

"ワーム"以外は何処の国の言葉かは判らず訳せなかったけれど、今思えば…今俺が聞いている言葉を、あの時の煌は口にしていた気がするんだ。

あのゲームは俺の記憶で成り立っているのなら、8年前…煌が口にしたものが、何故この裏世界で聞ける?


煌自身も怪訝な顔をしていたけれど、何かの記憶を探っているような…そんな雰囲気が見て取れた。

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