【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「は、離れてよ。ヘンタイ!!!」
ぐぃっと押し、あたしは座ったまま後ろへと下がる。
危ない、コイツ本当に危ない。
「やべーわ、お前」
口元を親指で拭い、口角をあげる。
「ヤバイのは、あたしじゃなくて、あ・ん・た!」
危ないのはわかってたけど。
血をあげちゃたけど。
もー!!!
あたし何してんのよ!!!
「俺、本気でお前もらうから」
「はい?」
「お前の血、全く別モンだわ」
「はぃ?」
「お前、俺のモンになれよ」
「はぁいぃぃぃ?」
そう言ってニヤッと笑った椎名冬夜に、あたしはゾッとして。
でも首筋に残る2つの小さな痕。
これが、血をあげたことが間違いだったってわかってる。
ううん、わかってたけど。
でも、どうしても助けずにはいられなかったんだ。