やっと見えたその顔は、凄く綺麗で。

こんな整った顔、テレビだってそうは見た事がない。


口をポカーンと開けて立ち尽くすあたしを見て、ニヤッと笑ったその男の子の口元に気付いた時、ほんのり赤くなった顔が、一瞬にして青くなってしまった。


……血っ!?


薄い唇の端から垂れる赤い一本の筋。

えっ、えっ、この男の子何してたの!?


その男の子がいた方向へと目を向けると、パンプスを履いた足が横たわっているのが見える。


ちょっ…どういう事!?


一気に感じる恐怖感。

2、3歩後退りしたあたしは、声を上げる事も、走って逃げる事すら出来ない。


ただ、その男の子の深い深いダークグレーの瞳を見つめるだけだった。


何の迷いもなく、あたしに近付く男の子の顔は見上げる位に高くて、それだけで威圧されてしまう。

腰を屈め、そっとあたしの耳元で


「誰かに言ったら…殺すよ?」


低く、ハスキーな声が耳に残る。


ふと香った甘い甘い匂いが鼻につく。

そして、妖艶な笑みを零すと歩いて行ってしまったんだ。