続・たとえどんなに辛いサヨナラが待っていたとしても
「まあでも、日本かどうか分かりませんが、俺たちは別の国で活動する可能性は十分ありますよね。
そのためにも語学の勉強はしておかないと。」


「Miracleがってこと?」


「さあ...俺たち三人だけかもしれませんけど。
そんなに深刻な顔しなくても、もしもの話ですよ。」


そう、もしもの話だ。

だけど、活動を別の国に移す可能性は十分にあるだろう。

俺たちは、あのハゲ...じゃなくて社長の判断に従うしかない。

日本語が話せないとか、どこかの国の料理が口に合わないとか、そんなことを言ったってどうしようもないんだ。

Miracleとして活動することでさえ...事務所の意向によっては、芸能界で生き残りたかったら諦めるしかない。

よっぽど売れない限りは、事務所に従うほか仕方ないんだよ。


「...今は日本で出す新曲が成功することだけ考えろ。」


自分に言いきかせるように、俺は二人にそう言うしかなかった。

大切なものを守る力も、何の力もない自分が悔しい。

俺は歌が歌いたい、ただそれだけだ。

だけどそれは8人じゃなきゃ意味がないんだよ。

頼むから少しでも長く一緒に歌うことができるように。





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