巫女と王子と精霊の本

マヌラ族の少女



――――――――――
――――――――
―――――


翌日、皆の様子を見に、私はまた馬小屋を訪れていた。



―ねぇみんなは竜を見た事あるの?


『見た事はないな』


一頭のお馬さんが答えた。


『竜は百年も前に違う土地に移り住んだって聞いたよ』


『あぁ、じいさまが話していたな』


―じいさま??


『死んじゃった僕のじいさまだよ』


群れの間から小馬が出てきた。


『竜の話、じいさまがよく話してくれたんだ』


―それ、私にも聞かせてくれないかな?


『うん、いいよ』


子馬は私の前に座る。
皆も同じように座った。


『竜は昔、このアルサティアの寒い山の上に住んでたんだって』


―じゃあ昔はアルサティアに住んでたのね


『うん。竜は魔王に仕え、人間や動物を襲ってたんだって。だから人間は竜を倒す為に剣をとったんだ』


竜が魔王に……


竜がまたアルサティアを襲ったりしたら……


沢山の人が、動物が、自然が死んでしまう。


何としても止めないと…



『人間の王が兵を率いて竜と戦ったんだけど、やっぱり竜には勝てなかった。そこに現れたのがマヌラ族だった』



マヌラ族…って……
何だっけ、確かどこかで…


そうだ!!確かマヌラ族の女の子が歌で竜を沈めるんだ!!


『マヌラ族は昔、竜と人が愛し合い、子を成した時に竜と人間の混血児として反映していった一族なんだ』


―竜と人が!!?
人間を襲っていたのに!?








< 107 / 300 >

この作品をシェア

pagetop