海の花は雪
〜集奏の章〜
なぜそうしてしまったのか、分からない…

ただ、とても大事な事のような気がして…自分はそれを、そっと忍ばせた…



海岸線から突き出た半島に、自分の通う『花咲学園』は建っていた。

良く晴れた海を見ながら、海沿いの歩道を歩いていると、向こうからジャージ姿の女子が「花咲ファイトー」と言いながら横を通り過ぎて行った。

たぶん高等部の生徒だろう…

うちの学校は県外からも受験が多い人気の私立校らしく、自分は地元で、あまり深く考えずに入ったけれど、確かにちょっと変わっている気がする…

一番特徴的なのは初等部から高等部まである事と、特別教室をのぞく、ほとんどの教室が海沿いに面している所だろう。

眺めの良さの他に、学長の趣味か何かで音楽系の部活やサークルを支援していて、やたらに数が多かったりする…

そのせいか分からないけど、音大への合格率が高く、その道を目指す生徒が受験して来るらしかった。



ゆるやかな坂を上った先に、緑に囲まれた校舎が見えて来た。

夏休み中なので、部活で来ている生徒の他は、あまり見当たらない…
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