海辺で恋するシンデレラ
4.裏切りの夜

私が記憶を失って、3ヵ月が過ぎていた。

仕事にも大分慣れて、以前に近い動きが出来るようになった。


藤堂さんは、今も時々カフェに顔を出してくれる。

それに、いつもの砂浜に居る時は、時間を忘れるくらい話すようになった。


店長は、相変わらずだ。
(あ、嫌悪感から最近は店長と呼ぶ様にしたの)


でも、ある時知ってしまった。

彼は、他にも付き合っている人がいる事に。



それを知ったのは、月曜日の閉店後だ。

私は、忘れ物をしたのに気が付き、店に引き返した。


すると、スタッフルームから微かな明かりが見え

そこに近づいていくと、女性の艶めかしい声が聞こえてきた。


「柊司ぃ・・・もっと、強く・・・」


音を立たせないように、少し扉を開けると

店長と、見知らぬ大人の女性がディープキスをしているところだった。


「やっぱり、お前は最高だよ・・・」


掠れた声でそう囁く店長。


< 39 / 218 >

この作品をシェア

pagetop